まだまだ知らないことばかりだけれど、日本ワインをもっと知りたい!と意欲満々のワタシ、ヴァインツリー編集部員・りょーこが、ワイナリーを訪ねて感じたあれこれをお伝えします。こんなことを聞いたら怒られるかも…なんて、ちょっとおっかなびっくりのレポートですが、同じように日本ワインをもっと知りたい! というみなさん、どうぞご一緒に。
episode 6_1
カタシモワイナリーの「夢を追い続ける舞台」(前編)
この旅は「たこシャン」から始まった!
「あ、柏原ぶどうって書いてありますよー!」
と、テンション高く電車から下車しました。駅から山を見てみると、白看板に赤文字で「柏原ぶどう」の文字が窺えたんです。つまり、あんなに高いところにぶどう畑があるってこと!?
私は今、大阪・柏原駅を降り、カタシモワイナリーさんに向かっているところです。きっかけは、たこ焼きにあうスパークリングワイン、通称“たこシャン”があるというウワサを聞きつけたこと。これを聞いてしまったら行きたくなるじゃあないですか。
ということで初・関西ワイナリー訪問は、カタシモワイナリーさんです!
おいしいワインは「ママ目線」のヒラメキから!?
「お待たせしましたー!」
と元気よく登場したのは、醸造部の高井麻記子さん。太陽のような笑顔とトークが印象的な素敵な女性です。
まず気になったのは、ワイナリーの立派な古民家。高井さん、ここは?
「これは築130年近い家屋で、広いスペースを活用して、ランチとしてフレンチのフルコースを楽しめたり、子育てママが気軽にクリスマスリースのワークショップを開催したりと多目的に使用しています」(高井さん)
ご自身もママでいらっしゃる高井さん。ワイン作りにも温かいママの目線が生かされているかもしれません。さあ、先を急ぎましょう。
夢追い人を全力で応援する理由
実はこのカタシモワイナリーさん、女性スタッフが大半を占めています。ウーマンパワーみなぎる高井さんを中心に、「夢」を持つ従業員がたくさん在籍しているといいます。
たとえば、お笑い芸人、レストラン経営、キャンドルアーティスト、陶芸家、サイクリスト、音楽アーティスト。みなさん自分の追いかける「夢」を持ちながら、ワイン造りに一所懸命に取り組んでいらっしゃるそう。
「ワイン造りは本当に難しいもの。天候などに左右されて、去年と同じ品質のものが生産できるかという確証はありません。全く先の見えない仕事なのに、日々の作業は1つ1つきちんと仕上げることの繰り返しです。そんな中でも、特に若い人には『夢』を持って自分の仕事に取り組んでほしいんです」(高井さん)
この会社で一緒に行ってきた地域貢献を、夢を叶える過程でも大いに活用してほしい。そうすることでその人物の評価も上がる。ワイナリーの「人」を大切に考える高井さんは、まさにカタシモワイナリーの大きなお母さんのよう。
「色んな個性があるから面白いんです。それぞれが目指すのは違う夢であっても、各人が一所懸命であれば仲間との絆も強くなります。それがワイン造りにもきっとプラスになるはずです」(高井さん)
100年の畑が醸す、ぬくもりのあるワイン
カタシモワイナリーさんのぶどう畑は、日本でも珍しい急斜面に存在しています。ほんの2年前までは山裾付近までぶどう畑があったそうですが、今は新興住宅地となっています。趣のある民家の家先に佇むぶどうの樹。これがかつてのぶどう畑の名残なんだとか。
そんな家々の前を通りながら、山の急斜面に広がるぶどう畑に向かいます。
坂道を上がって行くと左右にぶどう畑が広がります。アップダウンの激しい畑を歩くと、このような場所で普段作業されている畑チームのみなさんの努力を思い、涙が出てしまいそう。
というのも、この広大な畑を担当するチームは9名、土壌の管理にも余念がなく、日々研究を重ねて最高のぶどうが栽培できるよう努力されているのです。ときおり出没する害獣や激しい台風に耐えながらぶどうを守り抜く。すごい努力だと思います。
ふと気が付くと、足元にレールが走っていました。聞けば、「モノカーで収穫したぶどうを下ろすんですよ」と高井さん。カタシモワイナリーさんのぶどう畑は自動車が入れない場所が多いため、収穫したぶどうを醸造場まで運ぶキャタピラーやモノカーが必要なのです。
某有名アイドルグループが無人島を開拓する時に使用した物よりも小型ですが(ご存じですかね?)、この斜面を昇り降りするのはすごい。モノカーさえも入れないような場所は三輪車を使い、人の手で降ろします。
山頂付近まで登ると、舞台のような大きな野外テラスが。これは一体?
「ぶどうが実る季節になると、ここでフルコースのランチを提供するんです。ぶどうの葉でグリーンカーテンができて、お料理が提供されるまでぶどうをつまみながら楽しめます」(高井さん)
こちらのぶどうからできたワインです、とワインをサーブされてしまったら、素敵なワイナリーにもうメロメロです。
テラスのある畑を抜け、さらに奥へ向かうと樹齢100年のぶどうの樹が見えました。最長老のぶどうの樹は、若者のぶどうの樹よりも味わい深くなるそうです。
確かにテイスティングでいただいたワインからは、ぶどうの力強さをひしひしと感じました。同時に、ぬくもりのある優しさも感じ取れます。力強く優しさのあるワインは、この見晴らしのいいぶどう畑で太陽の光をたくさん浴びた証拠ではないでしょうか。
「専門家の方からも様々なアドバイスをいただきます。『生産性の低い高齢のぶどうの樹は残す意味がない』と言う方もいれば、『ワインをよくするための近道は、高樹齢のぶどうの樹をたくさん育てること』と言う方もいます。毎日が試行錯誤です」(高井さん)
樹齢40〜70年のぶどうの樹が多く存在する中、どのぶどうの樹を残すか、残さないかの判断を下すのは、高井さんが絶大な信頼をおく畑チームの皆さんだそうです。
次回は、醸造所を見学し、レトロでおしゃれなテイスティングルームへ。さてさて、たこ焼きにぴったりという“たこシャン”とは? 乞うご期待♪
http://www.kashiwara-wine.com/
住所:大阪府柏原市太平寺2-9-14
営業時間: 10:00〜17:00(平日のみ)
電話:072-971-6334
<直売所>
住所:柏原市太平寺2-7-33
営業時間:平日10:00〜18:00 土日祝10:00-17:00
電話:072-972-0208
定休日:年中無休(正月休み除く)
見学:ワイナリーツアーあり(要予約・有料)
【りょーこ プロフィール】
Vinetree株式会社
メディア担当
1990年生まれ・千葉県出身。食べ物、お酒をこよなく愛する。最初は海外のデイリーワインから始まり、まもなく日本ワインのとりこに。家飲みでは飽き足らず飲み歩く日々。最初から最後までハッピーな気分で飲みきれるワイン、悲しいことがあった時に付き合ってくれるワインたちが大好きです!
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