優しさと爽やかさで伝えた、変革
グランポレールプレミアムシリーズ 北海道ケルナー遅摘み
いきなりですが、筆者の個人的な思い出から書かせていただきます。15年ほど前にこのワインと出会いました。当時は日本ワインを軽視していたころで、それは私だけではなく、世の中のワイン好きにとっても同様の時代だったかと記憶しています。
昭和の時代のただ発酵させただけのお土産観光ワインであって、世界と同じ土俵にないもの。実際は、塩尻でのメルローの成功など時代は動いていたけれど、それは一般的に知られていたわけではありませんでした。そんな時期に、このワインとの出会いは自分の先入観を変えるひとつのきっかけとなったのです。
ケルナーはもともとドイツが原産。寒さに強いこともあって東北や北海道では以前から使用されていましたが、ただただ甘重いものだったり、酸が出すぎ、雑な茎や葉っぱの香りというより匂いや苦みが残るものが多く、ケルナーという品種に対しても肯定的ではありませんでした。それがまったく違う。甘やかさは余韻に奥ゆかしく現れますが、それがケルナーの秘めた要素であるマンゴーの濃密ながら爽やかな甘み。マスカットのみずみずしさ、りんごの爽快感がすっと心にまでしみこんでくる感覚。
ざわつく試飲会場にいてさえ、思わず目を閉じて微笑んでしまうものでした。今回、再会してみて、当時よりもピュアさとまとまりのバランスがより良く、上品さと厚みが増したという印象。生ハムとメロンの前菜や、甘酸っぱくしたマリネした鮎やサーモンとあわせて。ほのかな甘みが心を落ち着かせながら楽しい時間を手伝ってくれるでしょう。
VinetreeMAGAZINE編集部
サッポロビール株式会社
0コメント