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熱い思いを丁寧に穏やかに
さっぽろ藤野ワイナリー La Mer <ラ・メール>2017
札幌の中心部から車でわずか30分。2009年から醸造をスタートした「さっぽろ藤野ワイナリー」。そう書くと、都市型の洗練されたワイナリーとワインという印象ですが、1房ずつ選果を行い、醸造、発酵は自然に任せることが第一で、培養酵母・酸化防止剤・添加物などはできる限り使用せず、またぶどう本来の味わいを最大限に生かすため、ワインのろ過は一切しません。それはワイン造りの哲学やテクニックということだけではなく、オーナー姉妹の物語があります。故人となったワインが大好きだった弟さんの「できるだけ農薬を使わずにぶどうを栽培して体に良いワインをつくってみたい」という思い。これを守ること、育むこと。その物語がワインに映し出されています。
ラ・メールももちろん同様。余市町登地区、三笠市達布のブドウを使用。可能な限り時期を遅らせ、熟度を持たせた状態で収穫ということで、そのためフレッシュな果実味と酸味という藤野ワイナリーの特徴はもちろん、そこに優しさをまとった熟成感も現れていきます。飲み進めて1時間も立たないうちになんとも素朴でピュア、でもおっとり、優しい。こうした複雑さの要因には、ミュラートゥルガウ50%、ケルナー17%、バッカス14%、その他21%という多彩なブドウの個性もあるのでしょう。休日の高原の朝。柔らかい白いパンと手作りのマーマレードジャムのシンプルな朝ごはん。そんな場面も浮かびます。
VinetreeMAGAZINE編集部
さっぽろ藤野ワイナリー
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