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民芸のぬくもりを白テーブルクロスへ
サドヤ シャトー・ブリヤン セミヨン 2014
大正6年創業。サドヤはその頃からフランスのブドウと文化に傾倒し、戦前、すでに辛口ワインにこだわっていたというのだから日本ワインの歴史を知る者には驚きだ。現在、世界的な評価も受けている「シャトー・ブリヤン」のファーストヴィンテージは1946年。日本のワイン史の中で、フラッグシップといえるブランドがここまで続いているというのも実に誇らしい。
甲府市善光寺町にある自社畑のセミヨンを丁寧に優しく絞り、渋みや青みに邪魔されない果実本来のぬくもりのあるやわらかさを目指し、これをフレンチオーク樽で発酵、オリ引き後に再び樽貯蔵し、一升瓶で大らかに静かに熟成させる。当時はキワモノに思われていただろうが、当時できることと未来に当たり前になるだろうことを丁寧に実直に行ってきたことを感じさせるメソッドだ。
フランス文化を吸収しながら、根っこには日本のくらしがある。最初は田舎の伝統家屋にいるような、すぐき、たくあんといった漬物の風味。そこから次第に守口漬けのような溜まり醤油の深みへ。それが溌剌としたレモンやグレープフルーツに変わり、奥から洗練されたロックフォールなどチーズのニュアンスが、風景をクラシックなフレンチレストランへと変えていく。それは日本の戦前戦後の歴史のパノラマなのかもしれない。
VinetreeMAGAZINE編集部
サドヤ
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