まだまだ知らないことばかりだけれど、日本ワインをもっと知りたい!と意欲満々のワタシ、ヴァインツリー編集部員・りょーこが、ワイナリーを訪ねて感じたあれこれをお伝えします。こんなことを聞いたら怒られるかも…なんて、ちょっとおっかなびっくりのレポートですが、同じように日本ワインをもっと知りたい! というみなさん、どうぞご一緒に。
episode 7_2
丹波ワイン「そのワインは京都の食と文化とともに」(後編)
お醤油? いいえ、ワインなんです
続いて醸造施設に向かいます。醸造施設内は一般の方も見学できるようになっており、見学者は施設を上部から見学することができます。上部から施設内を見学できるので、迫力満点です。
では、施設内を案内していただきます。建物は1983年に建設されたもの。建物の壁はなんと四重構造になっており、空調を入れなくてもほぼ同一の室内温に保たれるそうです。
たくさんの貯蔵タンクが並んでいますが、特に気なったのは巨大な足場のあるタンク。上部が開いた状態の「オープントップ型タンク」でした。こちらは主にワインの発酵時に用いられるもので、発酵中のワインの状態が目視しやすいつくりになっています。
タンクの上部には酸化を防ぐための大きなビニール製のカバーがされていました。昔ながらの酒蔵のようでもあり、原始的なようにみえて、チリなどの最先端のワイナリーでも多く採用されているそうです。
もうひとつの利点は作業効率の良さ。醸造は2人の女性のスタッフさんが作業をするとのことでした。確かに女性でもこのタンクなら作業し易そうです!また、貯蔵されているワインはタンクの底が見えるほど澄んでいます。
「果汁ジュースの段階で、とても綺麗につくるのです」と黒井さん。あくまで食事に合わせることを考え、ワイン造りをする。なるほど、こうして繊細な京料理にもあう、上品な醤油を思わせるワインを生み出しているのですね。
人の目で最後まで大切にワインを管理し、丁寧なワインつくりをしている丹波ワインさんならではの方法でした。
丹波ワインの「虜にする方程式」
続いてテイスティングへ。直売所と併設のテイスティングカウンターには蝶ネクタイをつけたワインボトルやぶどうをイメージしたかわいらしい小物などがあります。
丹波ワインさんのエチケットはデザインが一貫しています。どのエチケットも「和」のイメージが強く、一目で「丹波ワイン」とわかります。
では、試飲。まず驚いたのは、「丹波鳥居野産シャルドネ樽発酵シュールリー」。
なんて美しい香りなんでしょう。今までに味わったことのないものでした。ジューシーな果実の香りを感じたことはこれまでにもありまりたが、そうではなく、可憐なお花の香り。
お花のエキスを液体にしたらこんな飲み物に…といった印象でした。口に含むと、すーっと鼻から抜ける蜜を感じます。このワインの驚くべき点は、するすると体に染み渡ること。とてもフレンドリーなこちらのシャルドネは、個人的に女性のビギナーさんへオススメしたい1本です。
合わせて印象に残ったのは、赤ワインの「丹波鳥居野サンジョベーゼ2016」。サンジョベーゼと言えばイタリアのものが有名かと思います。ワイン好きならきっと飲んだことのある人も多いはず。
過去に試飲したイタリアのサンジョベーゼの印象は、ギュッとつまった果実の濃厚さ、太めの酸、グッと来るアルコール感。私にとっては少し近寄り難い印象が残る品種でした。
ですが、丹波ワインさんのサンジョベーゼは優しい舌ざわり。とてもなめらかで、繊細。きめの細い舌触りは「もう一度飲ませて下さい!」と思わずお願いしたくなってしまうほど。
とはいえ、ぶどう自体の酸はしっかりと感じ取れます。和食に寄り添う酸を感じるのです。「実は僕、酸フェチで」と話す黒井さん。「てぐみ」をはじめ、丹波ワインさんのワインには、美しい酸味の存在があります。
お料理を難しくするものではなく、よりお料理の良さを引き立て、親しみやすくしてくれる酸です。お互いの良い所をより引き出すことのできるものでもあります。その土地の食を熟知しているからこそできる表現法。日本でしか出来ないワインといった印象でした。
テイスティングでワインを楽しんだ時、レストランでの体験やワイナリーツアーの最中に黒井さんがお話しされたことがフラッシュバックしてきました。
「経験+感動=記憶に残るワイン」という方程式で見事に訪問者を虜にしてしまう丹波ワイン。京都に来たら、ぜひ足を伸ばしてみて下さい!
丹波ワイン株式会社
住所:京都府船井郡京丹波町96
電話:0771-82-2002
会社営業時間:10:00〜17:00
ショップ営業時間:10:00~17:00
※毎週木曜日および年末年始は定休
レストラン:完全予約制 金土日祝日 12:00~14:30(ラストオーダー)
見学:無料ツアー土・日・祝日11:30〜/平日11:00〜
【りょーこ プロフィール】
Vinetree株式会社
メディア担当
1990年生まれ・千葉県出身。食べ物、お酒をこよなく愛する。最初は海外のデイリーワインから始まり、まもなく日本ワインのとりこに。家飲みでは飽き足らず飲み歩く日々。最初から最後までハッピーな気分で飲みきれるワイン、悲しいことがあった時に付き合ってくれるワインたちが大好きです!
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