関東平野の北西部、群馬県は高崎市まで足を伸ばしてみれば、これが意外なほど“飲み甲斐”のある街であることに気付かされるだろう。

高崎は古くから交通の要衝として多くの人が行き交った地域で、現在も賑わいを維持する中核都市だ。都心から1時間程度（新幹線利用時）という立地の良さからしても、ここで良き酒場の渉猟に励むのは有意義と言える。

今回訪ねたのは、JR高崎駅から徒歩5分、和洋様々な飲食店がひしめくエリアでひときわ存在感を放っている「ザブン」。オーナーはもともと和食の板前であり、カジュアルだが質の高い肴が多数用意されている。この日も〆鯖やいか醤油漬のほか、干し柿と白菜漬の柚子和えなど、酒飲みの心を的確に捉えたメニューがボードに並んでいた。

そして日本酒だけでなく、ビールや日本ワインにも力を入れているのが「ザブン」の特徴。系列店に、現在は高崎市で唯一のブルワリーとなる「シンキチ醸造所」があり、この「サブン」でもオリジナルのクラフトビールが大きな売りとなっているが、日本ワインの品揃えだってなかなかのもの。

それぞれ単品での仕入れであるため、タイミングによりラインナップは大きく異なるが、酒井ワイナリー「小姫」（デラウェア）や城戸ワイナリー「オータムカラーズ」（コンコード）、ドメーヌ・ショオ「サンキューソーマッチ」（メルロ）など、個性派が名を連ねるワインリストはそれだけでワクワクさせられる。

縁起物として親しまれるだるまの産地としても名高い高崎だけに、わざわざ足を運ぶ価値は十分。今年も多彩な美酒にありつけるよう、ぜひ開運を祈りながら酒肴を堪能してほしい。

クラフトビール

Vinetree VIEW vol.12