Vinetree VIEW vol.6

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世界への扉と故郷の癒しと

五一わいん 塩尻ナイヤガラ 2017

日本のワイン造りを巡る情熱と青春を描いた映画『ウスケボーイズ』。主人公たちを世界に負けないワイン造りに駆り立てた一因となったのが、メルシャンが手掛けた「信州桔梗ヶ原メルロー」だった。

フランスのような良質なワインができるはずがない、日本で国際品種のメルローなど育たないという世間の目や重圧と戦い、造りあげた作品だったが、メルシャンに先んじてそのメルローを最初に桔梗ヶ原に植え、凍害や病気と闘い、長年の苦難を乗り越えこの地に根付かせたのが林農園の林五一さんだった。世界で認められる国際品種によるワイン造りの功労者の一人だ。

その名を冠した五一ワインのラインナップには、その素晴らしい桔梗ヶ原のメルローを使ったワインももちろんあるが、一方で、古臭い、レベルの低い日本ワインの代表とも言われてしまった品種・ナイアガラを使ったものもある。その中の一つが「塩尻ナイヤガラ」。

ナイアガラは桔梗ヶ原で長年造られていたブドウだが、ワイン通を自負する人たちからは「ワインはワイン用のブドウから造られなければならない。生食用にも使われるブドウを使ったワインなど認められない」と嫌われているものでもある。

でも、二代目の幹雄さんは「だっておいしいじゃない」とにっこり。キラキラとしていて、ほんのり甘くて、そして青みかんのようなほろ苦く伸びやかな酸の余韻。飲み飽きない、飲み疲れない。世界への扉の足元に、素晴らしい故郷の味がある。メルローだってナイアガラだって、どっちだって幸せなんだ。

VinetreeMAGAZINE編集部


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